98.ジャンヌ・ダルク(JEANNE D'ARC)(PSP)レビュー・感想・評価
■タイトル:ジャンヌ・ダルク(JEANNE D'ARC)
■発売日:2006年11月22日
■開発元:レベルファイブ
■発売元:ソニー・コンピュータエンタテインメント
■定価:4,800円(税抜)
■個人的ランク:B+
プロローグ・あらすじ
かつて、「死神戦争」と呼ばれる人間と魔王の戦いがあった。
魔王率いる死神たちの前に人間たちは苦戦を強いられていたが、
人間たちの先頭には選ばれし5人の勇者が存在していた。
勇者たちは魔王と死神を封じるための5つの腕輪を作り、
その力で魔王と死神たちを宝珠の中に封じ込めた。
時を経た15世紀初頭、百年戦争の最中。
フランスとイギリスの間では領地を巡る戦いが続いていた。
フランスの小さな村・ドンレミ村は楽しい祭を催していた最中、
見たこともない魔物の襲撃に遭う。
その時「魔物を倒せ」という天の声を聞いた村の少女・ジャンヌは、
剣を取り、魔物を撃破する。
天の声に導かれ、ジャンヌはフランスを救うべく
幼馴染の少女リアン・元傭兵のロジェと共に、シャルル王太子の住むシノン城へ向かう。
母国を救うため、長い戦いの旅に出るジャンヌたちを待ち受ける運命とは……
本作の見どころ
- ・史実を元にしたフィクション作で、現実とファンタジーのないまぜ感が面白い
- ・綺麗なアニメーションムービーが多く挿入され、物語に臨場感を与えている
- ・起伏のあるストーリー展開。中盤の重く衝撃的な展開が頭に残る
- ・難易度が低めで、シミュレーションRPG初心者にとってやさしい内容
ジャンヌ・ダルク(JEANNE D'ARC)の総評
並以上には楽しめた良作。タイトルがジャンヌ・ダルクということで、史実が元になっていることは知っていたのだが、実際作中に『イギリス』だとか『フランス』だとかの名称が出てきて、それがファンタジー感あるアニメ世界で繰り出されると不思議な感慨を覚えた。
だが、ロードが多い・難易度が低い・あまり戦略性が無い・キャラの魅力の掘り下げが浅い、などの理由でそこまで高まりきらなくもあった。豊富なアニメーション・起伏のあるストーリー展開で、『アドベンチャー』や『RPG』として見れば良かったが、『シミュレーション』が足を引っ張っている、そんな印象。一般的なRPGのように、レベルを上げて装備を良いもので固め、スキルを整えば大概のステージはゴリ押せる。せっかくの高低差あるマップなのでそこにタクティカルバトルを組み込んだり、三すくみももっと生かしてレベルなどに頼り切らない戦略性を盛り込めば、グッと評価は上がったと思う。
本作の見どころは中盤で、かなり波乱に満ちた展開を楽しめる。個人的にはとあるキャラの顛末がとても悲しく、物語が終わっても余韻が残るほど強く頭に残った。兵士と魔物が共闘していたり、倒したキャラが何度も復活したり、ツッコミどころもあるが、実在したものがしっかり表現されていて実物に興味を抱かせた意味では良い作だった。ドンレミ村に行ってみたくなった。シミュレーションRPG初心者にお勧めの一作。
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ジャンヌ・ダルク(JEANNE D'ARC)の音楽
オーケストラ調で、時代を象徴したようなクラシカルな曲ばかりで、個人的には好印象だった。記憶に残るような鮮烈さは無いが、物語の内容を反映するかのように悲壮感や切迫感が漂うラインナップで、まとまりも良く、ゲームにとてもマッチしている。華々しい感じではなく、地味で、暗さを感じるが、それもまたこのゲームには合っているように感じられた。ステージ数はそこそこある本作だが、ロケーションやシチュエーションごとに音楽が異なり、バリエーションも程よさを感じる。
個人的に好きだった曲は、リアンが沼で孤独に頑張った様を彷彿とさせる『06.ジャンヌ・リアン』がまず頭に浮かぶ。あとは、ジャンヌダルクといえばコレという『02.平原』や、『03.峡谷』、『08.エルフ』、難局感を感じる『04.罠』、『11.夜の森』あたりもいい。『23.昔語り』も何気に良かった一曲。ステージ曲はじっくり浸りながらプレイしていたためか、特別惹かれてはいなくとも、どの曲も頭に残っていた。
ジャンヌ・ダルク(JEANNE D'ARC)のシステム
高低差のある3DのシミュレーションRPGで、敵・味方交互に行動フェーズが訪れて勝利・敗北条件に則って戦う、オーソドックスな形式。レベルの概念があり、敵を倒して経験値を高めたり、お金を貯めてショップで武器や防具を購入してキャラクターを強化出来るのもまたオーソドックスなRPGシステム。
戦闘面で特徴的なのは、敵を攻撃すると現れるサークルの中に入ると一時的に攻撃力がアップするバーニングサイトシステム、敵から攻撃を受ける際に味方が近くにいればいるほど防御力がアップするコネクションガードシステム、一部のキャラが宝珠を用いて変身することで戦闘能力が向上する変身システム、太陽・月・星の3つの属性が3すくみになっていてそれぞれ別の属性に対して強弱がある精霊属性システムなど。多彩な独自要素だが、どれも難しくないシステムなので、初心者でもとっつきやすい。
また、フリーステージで自由に経験値稼ぎが出来る上に、レベルや装備の能力補正が強く、じっくりレベルを上げて挑めば大概のステージはゴリ押せるので、難易度は低め。高低差ある3Dマップだが、意外にそこに戦略性はあまり無く雰囲気だけで、実際は2Dバトル感覚である。
物語は、ジャンヌダルク・シャルル7世・ベッドフォードなど人物の実在要素や、ドンレミ村やシノンなど地名の実在要素の中に、魔法の概念やエルフ・ドワーフなどの異種族の概念を盛り込んだファンタジー要素が組み込まれ、独特な世界設定となっている。
次ページでは本作の展開(感想・レビュー)を紹介
※場所の名称や人名、大雑把な展開を記載。物語の核心や人物の生死等、重要と考えられる要素は記載していませんが、多少のネタバレを気にしない方、またはプレイ後の閲覧をお勧めします
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