92.BUSHI青龍伝~二人の勇者~(SFC)レビュー・感想・評価
■タイトル:BUSHI青龍伝~二人の勇者~
■発売日:1997年1月17日
■開発元:ゲームフリーク
■発売元:T&E SOFT
■定価:7,980円(税別)
■個人的ランク:C+
プロローグ・あらすじ
光の天帝が生み出した兄神と妹神は、兄が海を、妹が大地を創り世界を誕生させた。
海の兄神と山の妹神によって作られた世界は、深く静かな海に囲まれた、緑豊かな大地。
そこで生まれた生命たちは神の恩恵を受け、平和に暮らしていた。
だが、人間が地上に誕生してから、海の兄神の心に「嫉妬」という感情が芽生える。
やがて海の兄神は「全てを支配したい」という歪んだ欲望にとらわれ、邪神と化す。
そして、世界の中心にある天界と地上を繋ぐ唯一のもの、
「魔結之柱(マムスビノハシラ)」を邪悪なものに変え、
そこで邪悪な魔物を生み出していった。
後に海の兄神の愚行を止める為、山の妹神と「八神一族」が立ち上がる。
「八神一族」とは、大地の神である山の妹神を奉り、仕え、
共に生きることを使命とした一族である。
彼らを代表する4人の勇者は「武四(ぶし)」と呼ばれ、
代々「青龍」「白虎」「朱雀」「玄武」という名を受け継いでいた。
しかし、熾烈な戦いの末、山の妹神達は敗北。
そして妹神は天界へと戻され、
「武四」たちは死者の住む国「黄泉の国」へと落とされたのだった。
物語は、その戦いの十数年後から始まる。
世界には、海の兄神が生み出した魔物が徘徊していた。
本作の見どころ
- ・シミュレーション要素のあるアクションRPGで、独特なゲーム性を楽しめる
- ・目標ターン数以内に敵を倒していかに多くの勾玉を集めるか、戦略を立てる面白みがある
- ・物語パートはアドベンチャーゲーム調になっていて、上質なグラフィックで物語を楽しめる
- ・冒険の進行度合いによってエンディングが変わるというやり込み要素がある
BUSHI青龍伝~二人の勇者~の総評
かなり風変わりで斬新な一作だった。ジャンルとしてはアクションRPGだが、ターン制のバトルでアクション性はあまり無く、代わりにシミュレーション要素やアドベンチャー要素が盛り込まれた、シミュレーションアドベンチャーアクションRPGと呼称してもいいような内容だった。
ゲーム性も、フィールド画面は見下ろしのトップビューだが、シンボルエンカウントで敵と遭遇すると横視点に変わるアクトレイザーのようなシステムで、戦闘もトルネコの大冒険に高低差(立体感)を設けて戦略性を盛り込んだような、風変わりなもの。今までにないゲーム性で感心した。
ただ、残念ながらその斬新さに楽しさが追いついていない印象があった。理由は、戦闘の爽快感が乏しい点、基本的なRPGの趣きがほとんど無い点(レベルを上げる楽しさ・買い物をしてキャラを強化する楽しさなど)、舞台が思いのほか狭くてストーリーも単調気味な点、など。SFC末期の作だけあってグラフィックはそれなりに綺麗で、新しい要素を色々取り入れた意欲作だと思うが、コンパクトにまとまった印象だった。自分の戦略通りに敵を倒せて大量の勾玉が得られた時はかなりの爽快感が得られるが、それが本作の一番と言ってもいいほどの肝の要素で、そこが刺さらないと厳しいかもしれない。
元はエニックスの『勾玉伝説』というタイトルで発売の予定だったらしいが、そっちで発売されていたらどんな感じになっていたのかが気になるところ。
BUSHI青龍伝~二人の勇者~の音楽
全体としては地味な印象の音楽だったが、和風テイストで、質はそれなりだったように思う。作曲者は増田順一氏というポケモンシリーズやヨッシーのたまごなどの音楽を手掛けた人物で、そのためか魔物が跋扈している重苦しい世界観のわりには、ポップな曲調のものが多かったように感じられる。本作は戦闘ごとに違う音楽が流れるのが特徴的で、地方ごとにも専用のBGMが用意されており、飽きさせない工夫が施されていた。
個人的に特別好きだった曲は無かったが、雪の地方の静かな音楽、そしてその後のパーッとした明るい音楽は、そのギャップと共に胸に残っている。あとは、ドラクエ1の洞窟のように深部に行くごとにだんだんと音楽が重々しくなってくるダンジョンの音楽は印象的だった。また、ヲクウがいなくなって主人公一人になった時の、いわばヲクウのテーマソングとも言えるしんみりした曲は、シーンの雰囲気とも相まってかなりの良曲だったように思う。
※ちなみに、マイナー過ぎる作のためか曲名が分かるページが見つからなかった
BUSHI青龍伝~二人の勇者~のシステム
斜め見下ろしのトップビューの移動画面で、それだけだと一見、和風ゼルダの伝説のようなビジュアル。草を剣で切って、ルピーならぬ宝石(物々交換でアイテムが貰える品)が得られたりするところも、ますますゼルダを彷彿とさせる。
が、戦闘はその剣を用いてその場で交戦するのかと思いきや、敵と接触すると画面がサイドビューの戦闘画面に切り替わるシンボルエンカウント方式。戦闘画面もターン制ではあるが、こちらが一回行動すると敵も一回行動するトルネコの大冒険形式になっていて、歩いたりジャンプしたりをボタン操作で行うため、若干のアクション要素が入っている。更に、各戦闘には敵をせん滅させる推奨ターン数があり、シミュレーション要素も入っているという、かなり風変わりなシステムとなっている。
また、移動パート中に建物の中に入ると画面がアドベンチャーゲームのような一人称視点になり、会話パートに切り替わる。縮尺がグッと大きくなったグラフィックで会話を繰り広げ、移動パートとは大きく雰囲気が変わるという、こちらも風変わりなシステムとなっている。
総じて、ゼルダのような移動画面、トルネコのような戦闘画面、アドベンチャーゲームのような会話画面の三種のパートを切り替えながらゲームを進行させていく類を見ないシステムになっていて、それぞれに味わいがあるのが本作の大きな特徴となっている。旅のお供には、魔物に変えられた女の子というこれまた風変わりなヒロインが加わるのだが(こちらは風来のシレンのコッパを彷彿とさせる)、戦闘をサポートしてくれて戦略の幅を広げてくれたり、何も喋らない主人公に代わって会話の進行役を担ってくれたりする。魔物ながらも愛嬌あるビジュアルと感情移入しやすいキャラで、本作の魅力を語る上で欠かせない存在となっている。
次ページでは本作の展開(感想・レビュー)を紹介
※場所の名称や人名、大雑把な展開を記載。物語の核心や人物の生死等、重要と考えられる要素は記載していませんが、多少のネタバレを気にしない方、またはプレイ後の閲覧をお勧めします
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