88.ヴェルヌワールド(SFC)レビュー・感想・評価
■タイトル:ヴェルヌワールド
■発売日:1995年9月29日
■開発元・発売元:バンプレスト
■定価:11,800円(税抜)
■個人的ランク:C+
プロローグ・あらすじ
西暦2028年、フランスの小説家ジュール・ヴェルヌの生誕200周年を
記念して洋上の孤島に建造されたテーマパーク、ヴェルヌ・ワールド。
そこで幸運にもプレオープンに招かれた主人公たち一家を迎えたのは
ロボットのダンサーによる華やかなショーであった。
それだけではない、科学の粋を集めてつくられて
このパークではアトラクションの運営、パークの警備・清掃など、
すべてがロボットによって行われていた。
しかし、突然、そのロボット達がプレオープンに招かれた来場者や
パークで働く人を襲い始め、人々をどこかへと連れ去ってしまう。
辛くも難を逃れた主人公とその弟は
他の無事だった者たちと合流しつつ、両親達の救出の道を模索する。
本作の見どころ
- ・実在する小説家・ジュール・ヴェルヌの作品世界がRPGで楽しめる
- ・近未来のテーマパークを舞台とした、一風変わったユーモラスな世界観が楽しめる
- ・顔グラ付きの主要キャラクターが多く、個性的なロボットや人間達が物語を盛り上げる
- ・主人公達のHPが1万を超えたり、獲得経験値が100万を超えたり、ダイナミックなゲームバランス
ヴェルヌワールドの総評
一風変わったどころか、二風も三風も変わったようなゲームだった。
自分は知らなかったのだが、『現代SFの父』と呼ばれるジュール・ヴェルヌという実在する小説家の作品が題材となっていて、作品は『海底二万里』『八十日間世界一周』『月世界旅行』『地底旅行』などがあり、実際このゲームにも、海底や月面、地底などが登場する。そのテーマパークが舞台となっているのだが、設定が突飛過ぎて、最初は馴染むのに時間がかかった。登場人物が多く、人間やロボットが入り乱れていてバラエティーに富んでいるのは見応えがあったが、近未来設定なのも普通のRPGとは違って馴染みにくかった箇所。雰囲気は、テーマパークや子供たちという要素を用いているだけあり、サスペンス的な展開がありながらも明るめで、どこかスラップスティックを彷彿とさせる。
RPGとしては、見下ろし型視点のプレイ画面で、戦闘はランダムエンカウントのサイドビュー、レベルや経験値の概念もあり、一見オーソドックス。ただ、お金にもスキルポイントにもなるエネルギーの概念があったり、ゲームバランスが物凄くダイナミックだったり、スキルが必殺技・T-Wの二種類あったり、主人公達の武器が、竹刀やラグビーボール、野球ボール、バスケットボールなど部活で使うようなものだったり、独自要素も多い。
個人的には、ジュールヴェルヌを知らない・世界観が好みではない・戦闘がストレス気味、という理由でそこまでは刺さらなかったが、SFC後期に発売されただけあり、ゲームとしてはそこそこまとまっている。また、ロボットと人間の物語はそれなりに楽しめて、グッとくる言葉などもあり、良いものは持っていると感じられた。もっと舞台の個性を楽しめて、ドラマチックな展開にすれば印象は大分持ち上がるようにも感じられる。原作がどんな感じなのか、大いに気にさせられた。
ヴェルヌワールドの音楽
全体的に、ポップでコミカルな中に、未来的・SFっぽさを感じるテイストの曲が多い。ゴーッという不穏な風の音のようなSEがBGMとして使われるシーンが多く、そんな中にコミカルでリズム感ある柔らかい曲が差し込まれるので、そのギャップに不思議な感慨を感じさせられる。ただ、それらがありながらも特別良曲揃いというわけではなく、本作は音楽に対する印象は薄め。ほとんどの人はこの作の音楽に対して地味な印象を受けるのではないだろうか。戦闘曲はなかなかに勇ましくカッコいいが、そんな中にもコミカルなテイストが含まれている。
個人的に好みだった曲は特には無かったが、他のゲームには無い一風変わった曲ばかりで、『どうやったらこんな曲が作れるんだろう』と、これはこれで制作者は凄いと感じられた。そして、全体的にほんわかとした中、意外性あるシーンに突如挟まれるSEはかなりのサスペンステイストなので、ドキッとさせられる。
ヴェルヌワールドのシステム
見下ろし型視点のプレイ画面で、戦闘はランダムエンカウントのサイドビュー。近しいスタイルは、ロマンシングサガやFF3あたりだろうか。経験値、レベル、買い物、お金(エネルギー)の概念もあり、一見はオーソドックスなRPG。どこでもセーブが可能で、難易度はやさしいが、一部、詰まりかねない場所や、全滅しかねないバトルもある。
そんななか風変わりなシステムとしては、戦闘で得られるエネルギーが、お金の役割もエネルギーポイント(以下EP)の役割も果たすというシステムがある。EPは、テクニカルウェポンを使用するために必要なポイントだが、お金を使えばEPに振る分は減るし、逆も然りなので、エネルギーの使用配分のバランス取りが求められる。また、パーティーキャラの特殊攻撃が、必殺技と前述したそのテクニカルウェポンの二種類があり、戦闘によって使い分けが求められる。あとは細かい部分だが、エネルギーや経験値、HPなどのパラメータが、一般的なRPGと比較して物凄く大きな数字が使われるというのも本作の特徴。
本作はフィールドの概念は無く、一つのテーマパークという狭い範囲で物語の全てが繰り広げられる。そのテーマパークは、ジュール・ヴェルヌの作品世界がモチーフとなっている。パーティーキャラは5人までだが、9人の主要人物のほか、顔グラフィック付きの様々なロボットが登場し、物語を彩る。その人間とロボット模様が楽しめるのも本作の特徴。全体的にポップでユニークな世界観の中、サスペンス的な進行も含まれている。
次ページでは本作の展開(感想・レビュー)を紹介
※場所の名称や人名、大雑把な展開を記載。物語の核心や人物の生死等、重要と考えられる要素は記載していませんが、多少のネタバレを気にしない方、またはプレイ後の閲覧をお勧めします
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