86.サガ フロンティア リマスター(PS4)レビュー・感想・評価
■タイトル:サガ フロンティア リマスター
■発売日:2021年4月15日
■開発元・発売元:スクウェア・エニックス
■ダウンロード販売価格:4,800円(税込)
■個人的ランク:B
プロローグ・あらすじ
レッド:リージョンシップ「キグナス」の見習い機関士。
しかしその正体は、父を連れ去り、母と妹を殺した悪の秘密組織"ブラッククロス"に
敢然と立ち向かう正義のヒーロー。
ブルー:強い魔術の力を持って生まれたが、彼は双子だった。
双子で誕生した場合、もう一方を倒さねば本当の魔術の力を得られないという地の定め、
それに従い彼は、自分と同じ顔をした男「ルージュ」を倒すために旅立つ…
T260G:掘り出されたコアを元にあり合わせのパーツで造られたメカ。
彼にはとても大事な任務があったはずだが、故障でそれを思い出せないでいる。
機能を回復し、忘れた任務を果たすためにT260は旅に出る。
リュート:素直で屈託ない性分だけが取り柄の田舎育ちの青年。
働くこともなくブラブラしている彼が、ついに自活することを決意。
楽器を片手に、初めて生まれ育った地を離れることになる。
エミリア:元トップモデル。結婚のため引退したが、その婚約者レンは何者かに殺され、
しかも彼女がその犯人として監獄送りになってしまう。レンが殺された現場に
姿を残した仮面の男「ジョーカー」を追うため、彼女は脱獄を謀る。
アセルス:事故で死にかけたところを、妖魔の君「オルロワージュ」の血をもらい、
生き延びた。だが、この世界でたった一人の半人半妖の存在となってしまう。
自分は人間なのか、妖魔なのか、その間で悩みながら、彼女は成長していく。
クーン:生まれ育ったリージョン「マーグメル」はその寿命が尽きようとしている。
崩壊が間近だ。これを何とか食い止めていたのがたった一個の指輪のパワーだった。
クーンは、その指輪の兄弟を集める旅に出る。大切な故郷を救うために…
ヒューズ:リージョン界の治安維持組織「IRPO」の隊員。問題行動の目立つ彼だが、
パトロールとしての使命感は強く、持ち前の洞察力と行動力により犯人検挙率は高い。
今日も事件を追って、リージョン界を奔走する。
本作の見どころ
- ・リマスターになり、グラフィックが高解像度で綺麗に描かれている
- ・旧作には無かった8人目の主人公「ヒューズ」の追加。7人のストーリーを違う角度で楽しめる
- ・旧作のアセルス編で未実装となっていた幻のイベントが実装。物語が更に深く楽しめる
- ・倍速機能・退却機能・シナリオチャートが新しく追加され、快適に遊べるようになった
サガ フロンティア リマスターの総評
旧作では、レッド編の途中までで止めてしまっていたが、本作は、アセルス、レッド、リュート、ヒューズ(3人分)までクリアした。
元々がPS時代の作なので、リマスター版になって画像が綺麗になったとはいえ洗練されていない箇所は多々あったが、全体的な構成は同じサガシリーズであってもロマンシング・サガとは毛色がかなり異なる。
"サガ節"とも言える独特の台詞回しは健在だが、本作はワールドマップが無く移動手段が空路のため、世界観も物語もかなりコンパクトに感じられたというのが全体的な感想だった。一人一人の物語もかなり短いため、良く言えば周回プレイに手が伸びやすいが、逆を言うと一人しかプレイしなかったらかなり消化不良感を感じてしまうことと思われる。色んな主人公をプレイすることがありきに感じられる仕様になっているのだ。だが、冒険をする舞台はみんなほぼ同じで、戦うモンスターも同一なので、二週目以降はどうしてもマンネリが入ってしまうところは本作の大きなマイナスポイントに思える。
だが、リマスターになって倍速機能やシナリオチャートが追加されたことで、プレイ感の快適さは飛躍的に増し、元々の戦闘システムが良いので、サクサクとスピーディーに進められたのはかなり快適だった。主人公を一から育て直しになってもあまり苦にはならなかったのは、トルネコの大冒険のような戦闘システム自体の魅力の大きさが理由だと思う。一に戦闘システムの良さ、二に色んな主人公の物語を楽しめるゲーム性、三にサガシリーズ独特の台詞回し、なゲームだったように感じた。それと、イトケンサウンド全開の音楽面も、本作の魅力にかなり貢献している部分だと思う。
■関連商品
サガ フロンティア リマスターの音楽
イトケンこと伊藤賢治氏が音楽を担当しており、この音楽という要素は本作の魅力を語る上で欠かせない。
イトケンサウンドはロマサガシリーズでも定評があり、そちらも好きだったが、本作の特徴としては、他種族が入り乱れる幅広い世界観のため、音楽のテイストも幅広いところ。幅広いわりにとっ散らかった感はなく、サガフロの音楽として全体がまとまっているように感じられるのが見事。また、キャラクターそれぞれに専用のラスボス曲が用意されているところも大きな特徴の一つ。
戦闘曲はどれも際立って光っていて、個人的に好きな曲も、通常戦闘曲の『Battle#1』、バトル2の『Battle#4』、中ボス戦の『Battle#5』、アセルスのラスボスのテーマ『Last Battle -Asellus-』、リュートのラスボスのテーマ『Last Battle -Lute-』など数多い。
特に『Battle#1』は、通常戦闘曲でこの作り込みかと思うほどクオリティの高さに唸らされた。
戦闘曲以外にも、『アセルスのテーマ』、生命科学研究所の『ALONE』、『武王古墳』など、頭に残った曲は多い。バロック音楽を彷彿とさせるアセルスの音楽は、全編を通して雰囲気が出ていて良かった。
サガ フロンティア リマスターのシステム
舞台は、様々な種族が住むリージョンという様々な世界。8人の主人公の中から一人を選んで遊ぶシステムで、シナリオは一人一人まったく異なるが、旅する世界は大体同じという構成。文明は発達しており、メカや重火器も登場し、近未来のような舞台もある。主人公一人一人のシナリオは短めのものが多く、一人クリアして終わりではなく、色んな主人公の物語を楽しむことが前提の構成になっているようにうかがえる。フィールドやワールドマップの概念は無く、それぞれの世界は空路で移動する。
戦闘はシンボルエンカウントで、ターン制のコマンドタイプのオーソドックスなもの。パーティーは最大5人まで戦闘に参加できる。ロマンシングサガ同様、レベルの概念は無く、戦闘終了時にパラメータが強化されることで強くなっていき、戦闘回数に応じて敵が強くなっていくシステム。好評だった、戦闘中に突然技を修得する『閃きシステム』も健在。そして今作では、仲間同士の技を連携させて一気に大ダメージを与えるというシステムがあり、これは発動タイミングも参加人数もランダムのため、閃きシステムのような突発的に発生する展開が楽しめる。こちらは味方だけじゃなく、敵も発動してくる。
リマスター版では8人目の主人公として新たに『ヒューズ』が追加され、彼のシナリオは、他の7人の主人公の物語をヒューズ視点で楽しめるIFストーリーの形で構成されている。一つ一つのシナリオは短めだが、7人分、7つのルートが楽しめる。
次ページでは本作の展開(感想・レビュー)を紹介
※場所の名称や人名、大雑把な展開を記載。物語の核心や人物の生死等、重要と考えられる要素は記載していませんが、多少のネタバレを気にしない方、またはプレイ後の閲覧をお勧めします
- 1
- 2