サンサーラ・ナーガ2(SFC)の展開

85.サンサーラ・ナーガ2(SFC)の展開

サンサーラ・ナーガ2の展開

第一階層

最初プレイを始めた時の第一印象は、こんな感じだった。

RPGツクール1のようなグラフィック、
ナイトガンダム物語のような歩行速度の遅さ、
そして、ヒョロロ~という不思議でしょぼく感じる音楽……

正直、何だこのゲームは…… と、やる気が失せた第一印象だった。

だが、自称クソゲーキラーの身として何とか自らを奮い立たせ、ゲームを進める。

はらたまの音楽が一転して陽気な曲調で、これまた変な感じ。

ヘルメットが無いだとか、あったと思ったら腐っていただとか、
何が何やらよく分からないままだったが、
白竜をお供にしてムシュフシュの村に移動してから、ようやく冒険らしくなってくる。

とはいえ、『西の池ってどこ?』となったり、
『洞窟の仕掛けの先にどうやって行くんだ!』となったり、
せっかく芽生えてきたやる気がまたもへし折られそうになった。

戦闘はドラクエスタイルで馴染みやすいが、
お供の白竜が戦闘中にいちいち話しかけてくるのが面白く
また、倒したモンスターを獲物にするか食べるか選択するシステムも面白かった。

痛恨の一撃を食らったら『こ ここでうろたえてはいけません』と言われたり、
台詞回しも結構ユーモアがあって面白い。

ただ、エンカウント率は高め

歩く速度は遅いのにエンカウント率は高めに感じるので、
歩数で換算したら結構なエンカウント率の高さになると思う。

あと、場所によってもエンカウント率は変化するようだった。

ブールの市場では、影の部分から建物の内部に入れるのか分からなく、またも少しつまづいていた。

このゲームは元々の不親切さもあるが、こういうビジュアル的な分かりにくさが多く
詰まって先に進めないと思ったら単純に入れる場所に気付かなかっただけ、
というのがよくあった。

プリ―の町に着いたらようやくフィールドらしいフィールドに出れたが、
このフィールドの音楽が凄く爽快感があり、かなりモチベーションが上がったのを覚えている。
(テーマ的にはフィールドのテーマではなく飛行のテーマだったが)



そして、ナギの村、露天風呂へと進めて、このゲームの造りについて理解してくる。

このゲームはどうやら、色んな世界を転々として進めていく形式らしい。
ドラクエ7のような、SaGa2のような感覚で、
次にどんな世界が現れるか?とワクワクする面白みがある。


と思ったら、ナーガ神殿で度肝を抜かれた。


上に行く…… だと……?


X・Y軸の方向性でしか考えていなかったが、まさかZ軸も存在するゲームだったとは……

このあたりから、このゲームの凄さがじわじわと身に沁み出してきた。

しかも、誰かが『8の階層にそれぞれ8の世界がある』的なことを言っていたような気がしたけど、
一つの世界でも結構時間かかる冒険をしていたため、
『これが64個もある? んなバカな』と感じたりもしていた。

その『んなバカな』は『そんなまさか…』にその後変わることになる。

第二階層

ここは、子育てが一番の思い出だった場所だった。

自分はチビ竜は、全体的な能力が高い青竜と、ブレスが使える赤竜をセレクトしていたが、
第一階層で何だかお供の竜が不審な動きをしているな?と思ったシーンがあったが、
あれが子作りだったんだなと後になって気付く。

街に行った時に白竜が産気づき、はらたまのおっちゃん?のどうでもいい話を聞かされていて
白竜が白目をむいていたのは笑ってしまった。


その後、子供のために何度も沼を往復し、エサを取ってくることになる。

これがまた地味地道な作業で、何回エサを持ち帰っても子供は生まれず、
看護師から「まだまだ努力が足りない!」と檄を入れられる。

まるでツバメの親がヒナにエサをあげるために何度も狩場と巣を往復する様のようだったが、
まさにそんな感じだった。

このゲームはあまり長いこと同じ武器や防具で戦っていると、
その装備品が壊れてしまうシステム(このへんもSaGaに似ている)があるのだが、
主人公一人で戦っていると自ずと敵からの攻撃は主人公一人に集中するため、
装備品が何度も壊れたりもした。


そして、ついに感動の出産!

病院にあしげく通ったり、役所に行って手続きしないとならなかったりというのは
変に現実的だったなあ。

子供は生まれてすぐにパーティーに加わるのだが、
当たり前だけど生まれたてなのでめっちゃ弱い

白竜と主人公で守りながら戦ってあげないとならなく、最初はそこも大変だった。

だが、そんな子供たちもレベルアップしてあっという間に成長していき、
最初はひたすら守ってあげるだけだったのが、やがて守りが必要無くなり、
見た目も変わってきて少しずつ戦力になっていく様は本当に感慨深く、
まるで実際の子育てをしているかのような感覚に陥った。

この頃は赤竜と青竜の能力差が歴然で、圧倒的に青竜の方が強く、
赤竜のブレスも大して使えなかったので、
二匹とも青竜にしておけばよかったかなとか思っていたな。

だが、そのブレスは後半になってから大活躍することになる。


この層では他に、装備品が変わってから急に歩くスピードが速くなって冒険しやすくなり、
あとタージとマハールのいがみ合いの解決などのイベントもあり、
とにかく印象深かった地だった。

また、この地の最後の最後で聞かされた、
『旅した前の世界が消失している』という言葉は、
これまでで最もショッキングだった台詞だった。

次々と上を目指しては、冒険してきた下の世界が一つずつ消え去っていく……

こんなヒョロロ~というしょぼい音楽でしょぼいRPGに見せかけていたこの作が、
まさかここまで壮大で重々しい一作だったとは……

「気付いておるかもしれんが…」って、全然想像もしていなかったよ!!

特に懇意にしていた人物がいたというわけではないが、
これまで接してきていたみんなは、主人公が次々と新しい世界を開拓していっている中で、
陰でひっそりと消え去っていたのか……という事実は凄く重く、
この作品の重さをまざまざと感じられた瞬間だった。

第三階層

第三階層に入った途端、元来たタオは使えなくなる。

これまでは何とも思っていなかったけど、
移動ルートが断たれた途端、下の世界は崩れ去っているのだろうか……と、
何だかもの悲しい気持ちになった。


三つ目の階層は火山の地だったが、そこまで印象は強くなかった。

ようやくアムリタに追いついてきた感があったのと、
火山が冷えて一気に行動範囲が広がったのが面白かったのと、
滅びたギルドが印象的だったのと、
ミノタウロスだらけのところは進みやすくて面白かった、ということくらい。

後半は概ねミノタウロスだらけのところばかりで単調だったが、
敵が出ないというのがまず一番快適で、
それでどこが道になるのか発掘する作業も面白く、これはこれで味わい深かった。

火山の中というとんでもない場所にはらたまがあるなーと思ったが、
ちゃんと扇風機みたいなものがあって生活感を出しているのが面白かった。
はらたまの店主が一人四役やっていて、タオ紹介の役も兼ねていたのも笑いどころ。

最後の罠のある地は、最初街まで飛ばされてしまい、
数多くあるオブジェ?のどれが罠でどれが正解かはノーヒントなので、
『これ一個ずつ試していかないとならないのか?!』と思ったが、
街まで飛ばされたのは二回だけだったかな…… わりとサクッと超えられた。

それにしても、これまでの経緯を見るにアムリタは思っていたより危険な存在のようだ。
もしかしてアムリタを追うのが全編通して最後まで続くのだろうか?と思ったりしていた。

第四階層

…と思っていたら、この階層でまさかのアムリタ登場でビビった。

まさかこんな段階でご登場いただくとは……!!

一触即発、これは不穏なことになるか……?と思ったら、
アムリタはどうやら戦意は無いようだ。

わりと普通の印象だったのが意表を突かれたが、
それにしてはカギを奪ったりギルドを滅ぼしたり、
やっていたことはかなりロクでもなかったんだけどな……

話を進めてみると、洞窟の中でつつましい生活を送っていたり、
『竜はなぜ生まれたのか、竜とはそもそも何なのか』という答えを探していたり、
水門の前に使う言葉に主人公の名前を引用したり、
悪一辺倒という感じではなさそうというのがうかがえてきた。

それどころか、主人公に何らかの思い入れがある…… とすら感じられた。


この四階層の地は、三階層の火の地とは対称的な『水の地』という印象。

これまでずっと変わり映えしないような世界を冒険してきたなか、
水中の演出と音楽は新鮮だったなあ

温泉の真ん中のやつのどかしかたや、あまやどりの木のイベント進行など、
ちょいちょい詰まった地でもあった。


そして、ここまで来たあたりではもうチビ竜は成竜と言ってもいいほどまで成長していて、
お供の白竜と同じくらいの大きさにまでなっていた。

戦力的にも、もう主人公達とタメ張るどころか上回るほどにまで強くなっていて、
あのただ守るだけだったチビ達が…… と、凄く感慨深く感じていた。

敵も4人がかりで普通に戦えるくらいの強さだったので、
仮に子供がいなかったら冒険は成り立ったかどうか…… そう思ったら尚更不思議な感慨にとらわれた。

サンサーラ・ナーガ3

サンサーラ・ナーガ4

第五階層

火の地、水の地ときて…… この五つ目の地は、称するなら風の地、だろうか。

空を飛べるというのが面白かった。
が、敵が出過ぎでストレスMAX!!
敵はタフだし、ここまで来ると赤竜・青竜が主力となっていて、
反面、主人公と白竜が使えなくなってきていて、まいった。

そんな中、赤竜と青竜が一時離脱してしまい、呆然……

旅、大丈夫か……?

二人きりになってちょっと懐かしい気持ちになったものの、
もはや敵とは戦いにもならなく、感傷に浸っている場合じゃなかった。

もはやどっちが親だか分からない。

改めて、子供の存在が不可欠に感じられたシーンだった。


そしてここは、『ばくだん』の箇所で本作一番と言ってもいいほど詰まった。

結局攻略を見てしまったのだが、
『奥のトイレが詰まっている』と言うからトイレの奥側ばかり探索していたが、
『奥』違いで、トイレの奥側じゃなく、建物の奥にあるトイレという意味だった……!


このゲーム、『攻略無し&戦いからの逃げ無し』でクリアした人は
誰かいるのだろうか。

元々長めには感じていたけど、
ちょいちょい詰まるし、敵は頻繁に出る上にめっちゃカタいし、
正面から真っ向勝負で挑んでいたらクリアまで100時間くらいかかりそう。


それはともかく、この地からだんだんと話がシリアスになっていき、
大詰めへ向かっている感が感じられるようになってきた。

『世界はいつ始まったのか? 世界に終わりは来るのか?
 終わりが来るとしたらその先にあるものは?』

と、アムリタの疑問がいつしか発展した哲学的なものに。


空中庭園は何の要素もない挟みの地だったが、ここも印象的だった地。

未だかつてない音楽が流れ、宙に浮かんでいる緑と水の地で
女性が楽しそうに水浴びをしている絵は、まるで天国のよう。

それでいて、主人公とはらたまの店主が入れ替わったり、
気付いたら夕方のようになっていて天国のように感じていた地が
何もない不気味とも感じられる雰囲気に変化したりして、
結局何なのかはよく分からなかったけども、意味ありげで、凄く印象的だった。

とりとめのなさがまるで夢の中のような、そんな感覚があった。

第六階層

この階層はわりとあっという間に終わった

ここでは初っ端、ルピーのインフレがあって驚く。
が、アイテムを売ったりしていたら、あっという間に元の感覚に戻ってしまった……

このルピーインフレは何か意味があったのだろうか


そして、このあたりから雑魚敵が手が付けられなくなってくる
敵によっては倒すまで時間がかかる上に経験値が大したことないというやつもいるので、
そういうやつは当たり前のように逃げていた。


イベントとしては、コロシアムは楽しそうだと思ったが、
あっという間に終わってしまった上に敵も大したことなかったので歯応えは無く、
せっかくの面白そうなイベントなのにもったいないなと感じた。

それと、タージ・マハールにいた照明の人と再会したのは驚きだった。
下の世界は消えてしまったとはいっても、
ちゃんと生き残っていた人もいるのか……とちょっと嬉しくなったシーン。

この階層は竜騎士という存在が新たに現れて、
元々本作は竜にスポットが当てられた作ではあるけど、
その竜騎士と竜使いが敵対するという展開はなかなかに面白かった。

もう少し掘り下げても良かったように思ったが。

どちらかに感情移入する前にあっという間に敵対し、
気付いたら王宮に誰もいなくなるという寂しい展開になったな。
どこにも誰もいなくなって、何だか取り残された感を感じ、
早く上の世界へ行こう、となっていたのを覚えている。

あとここでは、床のタイルの全て、一枚一枚からお金が得られるというギミックがあった。

制作時間と容量の無駄遣い!!


そして、もう聴くのが何度目かになる、神殿のテーマ。
初めはただ荘厳さを感じていただけだったけど、
途中から『この世界を突破した』という達成感を感じられるテーマになり、
そして、このあたりでは『もうすぐ冒険も終わってしまうんだな…』という
寂しさや悲しさが感じられるようになる、不思議なテーマだった。

ここでいよいよクライマックス感を感じてくる。
ラストの相手は、やっぱり、やっぱりあいつなのか…… と、悲しいような、辛いような。
これがまた神殿のテーマとマッチしているように感じられた。

最初の目的がそのまま最後の目的になる作品なんだな、と思ったあたりだった。

第七階層

何と、はらたまだけの階層

ここは、これまでの種明かしかのようにストーリーの核心に触れられて、
感慨深い地だった。

他の世界のその後や、アムリタに関する顛末が描かれる。

やはり、アムリタは悪一辺倒という感じではなかった。

アムリタの葛藤、アムリタやギルドの善悪、黒い竜と世界の関係、
それらがシリアスに語られて、厳粛で重々しい気持ちになってくる。

全てが凝縮されて一気に語られるので、
この地は誰もが衝撃を受けること請け合い

ただ、わざとだったのかもしれないが、
このコンパクト過ぎる世界構成はどう見ても手抜き容量不足の類。

これまでの世界構成を考えたら尻すぼみ感はどうしても否めなく、
もったいなさを感じてしまった。

序盤の容量をこっちに持ってくるなどして、もう少し何とかならなかったものかなあ。

第八階層・エンディング

ラストとなる八階層も、からくり満載のラストダンジョンがあるのみで、あっという間にラストに到達。

やっぱり、容量不足だったのだろうか。

アムリタとの会話、そして黒竜の台詞が切ない……

そして……

……

ラスボスも通常戦闘曲かい!!

うーん、最後の最後で締まらないな!!

だが、黒竜と対峙した白竜の
「ここまで連れてきてくれて感謝します」
「わたしの旅はこのためにあった」
という言葉は凄く重く、深々と胸に刺さった。
自分自身も、これまでの白竜との旅を振り返ってしまった。

ラスボス戦の演出としては凄く効果的で、
それだけに、尻切れトンボのような収まりの弱さが本当に惜しく、残念に感じられた。


エンディングは、りゅうえんがあり、みんなそれぞれ名前が変わっていて、
アムリタの「サンサーラとは輪廻転生のこと」という言葉が胸に残った。

輪廻転生した姿が、このりゅうえんなんだろうか。

このエンディング後にセーブデータが消えるという演出があったのだが、
仕様としてセーブデータが消えるゲームなんて初めて見た。

これは、繰り返すということなんだろうか?

歴史は繰り返すとは言うけど、リングになっているわけではなく、
螺旋のような感じで、それぞれ名前を変え、
時に白竜になり、時に主人公になり、時にアムリタになり、時に黒竜となって生まれてきて、
繰り返しのように見えて何かが少しずつ変化していく、そういうことなのだろうか。


総じて、シナリオの良さのみが突出した一作だった。

音楽も最初はしょぼいと感じたが、慣れると味わい深く聞こえ、
今現在も場面場面と共にしっかりクッキリと頭に焼き付いてしまったほど。

こんな厳粛な気持ちになり、物思いにふけってしまうSFCのRPGはなかなか類を見ないように思う

良い部分だけを見ればA評価以上は固いと思えるのだが、
しょぼい部分がしっかりしょぼいのが残念だった。

床のタイル一枚一枚からお金が得られるギミックなんて作るより、
ラスボスに専用曲を入れる方に容量を使ってほしかった。

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