85.サンサーラ・ナーガ2(SFC)レビュー・感想・評価
■タイトル:サンサーラ・ナーガ2
■発売日:1994年7月15日
■開発元:アドバンス・コミュニケーション
■発売元:ビクターエンタテインメント
■定価:10,780円(税抜)
■個人的ランク:B
プロローグ・あらすじ
ある日、「竜使い」のギルド「竜苑」の前に、竜の卵を抱いた赤ん坊が捨てられていた。
赤ん坊は竜苑で育てられ成長していったが、抱えていた卵は一向に孵らなかった。
人々は主人公を嘲笑っていたが、天才竜使いアムリタだけは主人公に理解を示し、
主人公はアムリタと心を通わせるようになった。
ところがある日、アムリタは突然竜苑に火を放ち、
自らの竜と共に8つの階層から成る世界を上へと逃亡していった。
そして直後、ついに主人公の抱えていた竜の卵が孵った。
産まれてきたのは人々が見たこともない、1000年に1度だけ産まれる、
生まれながらにして完全に人語を解するという真っ白な竜。
竜苑は主人公に、反逆者となったアムリタを追うよう使命を与えた。
主人公は孵ったばかりの白い竜と共に、階層世界へと旅立つ。
本作の見どころ
- ・重く、壮大なシナリオと、独特の世界観。シナリオの魅力は作中、突出している
- ・竜への感情移入と、子育ての醍醐味という、他作には無い味わい
- ・上へ上へと登っていく特徴的な世界構造。様々な舞台と多様な展開を楽しめる
- ・情緒的で、虚無感を感じる独特のテイストの音楽。作品を強烈に印象付けている
サンサーラ・ナーガ2の総評
『面白くなさそう』という第一印象を大きく裏切った一作だった。
ファミコンのようなドット絵グラフィック、歩行速度の遅さ、洋ゲーでも和ゲーでもない独特の雰囲気、不思議なテイストの音楽、最初はパッとしない印象だったが、それを覆したのはシナリオ。ポップな滑り出しから徐々に話が重くなっていき、衝撃のラストを経たら、本作の印象が強く胸に焼き付けられた自分がいた。クリア後もオープニングテーマが繰り返し頭の中で流れ、色々とゲーム内容を回想させられるほどのロスに入らされたところに、この作の力を感じた。ウィットに富んだ会話や、予想だにしない展開でこの作が持つ独特の魅力に惹き付けられ、初めはしょぼいとすら思っていた音楽にも味わいが感じられるようになり、印象が逆転したところも面白かった。
ただ、マイナス要素も大きい。致命的だったのが、エンカウント率の高さや、敵の硬さ、テンポの遅さによる戦闘面のストレスの大きさ。また、次に行くべき場所のヒントが少ない、アイテムや魔法の効果が分からないなど不親切要素も多く、それでいてボリュームがあるので、本作をクリアまで辿り着かせるにはかなりの根気が必要とされる。ラストの方は尻切れトンボ感も大きく、シナリオが際立って良かったために、上記は本当に残念でならなかった。システム的に洗練されてさえいれば、名作に分類されるポテンシャルは備えていると感じられる。
また、本作は色々と独特な要素が多いが、中でも『竜と人間の関係、竜の子育て』という概念は凄く特徴的だったと思う。深く重いシナリオも相まって、わりと大人向けのゲームであり、人を選ぶ作だと感じる。
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サンサーラ・ナーガ2の音楽
本作の魅力を語る上で、音楽は外せない。
曲数はかなり少なく、どの世界でも使い回しの曲ばかりなので物足りなくも感じたが、逆に一つの音楽に愛着が湧く形に繋がった。全体的に独特の宗教観が出ていて、哀愁が漂う曲調のものが多く、どれもこれもまさに『サンサーラ・ナーガ2のための曲』だと感じられる。
個人的に好きな曲は、まずはオープニングテーマ。冒険を再開する時に必ず聞くことになる曲だが、初めは何とも思わなかったが、後半の方に行くにつれ、だんだんと味わい深く感じるようになってきた。
神殿のテーマも外せない。この曲を聴くと、達成感を感じるような、荘厳さを感じるような、寂しさを感じるような、何とも言えない気持ちになる。まさに本作に相応しい音楽であり、本作のストーリーが持つ雰囲気を見事に体現した曲だと感じた。
ほか、やたらと哀愁の漂うフィールドのテーマ、初めはしょぼいと思ったがだんだんと愛着が持ててきた村のテーマ、状況次第で心が躍ったり空虚に感じたりもする不思議な音楽のはらたまのテーマ、などなど…
全体の曲数の半分はお気に入り曲に入るかもしれない。
空中庭園のテーマは流れるシーンが限られたが、状況も相まって胸に残った一曲。
哀愁漂う曲ばかりの中、明るく開放感を感じる飛行のテーマも好きだった。
サンサーラ・ナーガ2のシステム
トップビューの操作画面、フロントビューの戦闘画面で、表面上はドラクエスタイルのオーソドックスなRPG。
が、中身はかなり変わっていて、まず、主人公にはレベルの概念はなく、代わりに仲間になる竜の方にレベルの概念がある。また、敵は倒してもお金は得られないが、その代わり竜のエサにするか持ち帰りにするかを選べて、エサにすると竜を強化出来て、持ち帰りにするととあるお店で売って換金ができる。そのため、状況に応じて倒した獲物をどうするかの使い分けが求められる。さらに、装備はある程度使い込むと壊れる仕様になっており、お金と相談しながら複数の武具を買っておくというアイテム管理が必要になってくる。
舞台となる世界は一つではなく、いくつかの階層に分かれていて、魔界塔士Sa・Gaのような世界構成になっている。
難易度としては高くはないが、前述したようにエンカウント率が高めで、かつ、後半は主人公の存在が空気になってしまうほど敵がタフになってくるので、戦闘システムはお世辞にも精度が高いとは言えない。また、物語を進めるためのヒントが少なめで、次にどこに行ったらいいか分からないまま敵とばかり会うという状況になりがちになる。ただ、エンカウント率を下げるアイテムがあり、敵からは逃げやすいのは大きな救いとなっているところ。
次ページでは本作の展開(感想・レビュー)を紹介
場所の名称や人名、大雑把な展開のほか、物語の核心や人物の生死等、重要と考えられる要素を記載。プレイ後の閲覧を強くお勧めします。
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