84.イースV 失われた砂の都ケフィン(SFC)レビュー・感想・評価
■タイトル:イースV 失われた砂の都ケフィン
■発売日:1995年12月29日
■開発・発売元:日本ファルコム
■定価:12,800円(税抜)
■個人的ランク:C+
プロローグ・あらすじ
燃えるような赤い髪を持つ、若き冒険家アドル=クリスティンは
新たな冒険を求め、アフロカ大陸の交易都市、サンドリアの町を訪れた。
6つのクリスタル。
今も時空をさまようという「幻の都」。
そして、氷漬けの少女…
かつて、ケフィン王国が栄えた砂漠の大地で、
アドルが見たものは?!
本作の見どころ
- ・グラフィックが大幅進化。要素が大きめに描かれ、見やすく綺麗なドット絵で仕上がっている
- ・前作までの体当たり攻撃が、剣で攻撃・盾で守る動作になり、アクション性が高まった
- ・良質のストーリーとサウンド。後半の展開が特にドラマチックで盛り上がる
- ・動作が高速で、ストレスなくサクサクと快適にプレイできる
イースV 失われた砂の都ケフィンの総評
実に惜しい。本作は、発売当時にも見た目の面白そうな感じで惹かれていたが、高額だったために敬遠していた。敬遠していて良かったのかもしれない…あまりに短い作だった。短時間クリア出来るSFCのRPGといえば『SDガンダム外伝2 円卓の騎士』を思い出すが、本作のクリアタイムは何と7時間ほど。プレイ史上一番短かったRPGの記録を塗り替えたかもしれない。
グラフィックは良く、音楽も良く、シナリオ展開も良かった。三拍子揃っていて、良いものは備えていたと思う。サクサク快適に進めたのも心地よかった。
ただ、その反面、一つ一つのイベントシーンが淡白になり、一つのダンジョンを超えるのもあっという間なので、達成感があまり感じられなかった。クリアまでが短い分、当然ながら全体的なシナリオ構成もコンパクトにまとめられていて、良いものを備えているにも関わらず物足りない感はどうしても否めなかった。アクション性が進化したのは良いが、とはいえ同時期に発売された天地創造などのアクションRPGと比較するともっと頑張ってほしかった感は否めず、魔法システムも練り上げがほしかった。
もっとシナリオを拡張させてフィールドの範囲も広げ、戦闘システムを充実させていたら評価は全然違っていたのではないかと思う。
短すぎたためどうしても辛口にならざるを得なかったが、テンポ良く進められて、前述したように持っているものは良いので、プレイ中は快適な楽しさは得られる。ラスト近くは一気に盛り上がり、意外にもクリア後はロスを得られ、終わりが名残惜しい花火のような感覚の一作となった。
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イースV 失われた砂の都ケフィンの音楽
全体的に良曲でまとめられている。作品の尺は短いながらも総曲数は50曲以上にわたり、使い回しの曲がほとんど無いというのが圧巻。全体的にオーケストラ調の壮大さを感じる曲調だが、メロディーラインもしっかり表現されているため聞き応えがあり、さすがは日本ファルコムと感じられたところ。
個人的に好きだった曲は、爽やかでしっとりした町の音楽、また、素朴さと安らぎを感じる家の中の音楽も、町の音楽と良い対比になっていて良かった(町と家の中で音楽が違うのがそもそも良かった)。そして草原の音楽はこれから楽しい展開が待ち受けていそうな壮大感と疾走感が心地良く、町・家・草原の3テーマで、スタートは良い切り出しを感じられた。
洞窟の音楽も雰囲気が良く出ていて、暗くなり過ぎずメロディアスながらも、ダンジョン感が出ていて良いと思った曲。宝箱のゴージャスな旋律も良かったが、たまに音楽の派手さに見合わず宝箱の中身が大したことないことも…
セーベの遺跡や、砂漠の町の音楽も個人的に惹かれた曲。
イースV 失われた砂の都ケフィンのシステム
クォータービューのアクションRPG。シリーズで初めて高低差の概念が生まれ、高地にジャンプしたり、ジャンプ攻撃したりすることが出来るが、ジャンプ攻撃なのに地面にいる敵に攻撃が当たったりなど精度は低め。また、錬石を身に着けることで使用できる錬金魔法という魔法の概念があるが、こちらも魔法の種類は豊富なものの使い勝手はあまり良くなく、実用性としては低め。ただ、敵を倒すことで経験値が溜まってレベルが上がったり、敵が落とすアイテムを売ってそのお金で強力な武具を買ったりなど、敵と戦うほど強くなっていくRPGとしての醍醐味はしっかりと楽しめる。
グラフィックは全体的に大振りのドット絵で描かれていて見応えがあり、トルネコの大冒険を彷彿とさせる。また、SFC後期作だけありクオリティも高め。主人公の歩行速度はかなり速く、ストレスフリーでサクサクと進めるが、短めのシナリオも相まってボリュームが少なく感じる要因の一つとなってしまっている。クリアまでの時間は5~10時間ほど。
難易度は易しく、レベルや装備を整えておけば大概はゴリ押しで進められるが、一部フィールドのギミックで丁寧なジャンプアクションが求められる箇所がある。
次ページでは本作の展開(感想・レビュー)を紹介
※場所の名称や人名、大雑把な展開を記載。物語の核心や人物の生死等、重要と考えられる要素は記載していませんが、多少のネタバレを気にしない方、またはプレイ後の閲覧をお勧めします
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