70.エナジーブレイカー(SFC)の展開
エナジーブレイカーの展開
まずは主人公の名前入力からスタート。
んん?
『あたし』……?!
この作、女性主人公なのか!!
いきなり意表を突かれた。
立体的な円形になっている名前の入力の仕方が無駄にカッコいい。
オルガの街~風の樹海エルトワ
グラフィックの立体的な構造に最初驚きながらも操作方法に戸惑っていたが、
さすがに視点を回転させたりは出来なかった。
雲の陰影が流れたり、細やかなドット絵で表現されていて結構なグラフィックの質の高さ。
プロフィールは何と顔グラ付き。
あまり可愛いという感じではなくリアル寄りだったが…よくドット絵で頑張ったもんだなー。
それにしても本作は至るところが調べられるのが凄い。
ツボやタンスは当たり前のこと、ちょっとしたオブジェやただの街の飾りとかも調べられる…
凄っ!!
ここまで調べられるのは今までやってきたRPG史上初かも?
しかも、何気無さそうなところからアイテムを得られることも多い。
ちいさなメダル要素のある『キラキラの小石を』を得られた時は『よっしゃ!』と心が躍っていた。
このあちこち調べてみたくなるシステムは秀逸だと思う。
ストーリーは、夢で会った男を追いかけるため、
セルフィーの占いを元に風の樹界エルトワへ。
ここでもアイテムが色々と発掘できる。
これ、買っては売ってを繰り返せば序盤から大量な金儲けが出来るんじゃ…と思えるほど、
それこそ手持ちのアイテムリストが軽く一杯になるくらいまでそこら中アイテムの宝庫だった。
森の木漏れ日の演出がカッコいい。
ここで初の戦闘となるが、初めは戦い方がよく分からなかった。
やたらとダメージを食らうので『これ回復が大変なんじゃ…』と思ったら
戦闘後はHPが満タンになるロマサガシステムのようだ。
変なロボット(ガリバー)を連れた変な爺さん(ルナルド)と遭遇し、一戦交えるが…
このジジイ、結構強い…!!
何とか退けて、奥で今度は青髪の男(レオン)と遭遇。
主人公が『自分っていうお宝を探すあてのない旅です』とかカッコつけたことを言っている。
樹海の底では初のボス戦。
本格的なシミュレーションRPGっぽく
勝利条件に『〇〇ターン以内に倒すこと』とあって焦ったが、
ストーリー上、特に時間制限にさせる理由はなかったように思うが一体…
そこで、先ほどのレオンが登場。
カッコ良さげなグラフィックといい、会話の感じといい、
こいつは主人公と良い感じになるヒーロー的な立ち位置になるに違いない…!
と名前を『アスト』と名付けたが(便宜上ここではレオンと書いていくが)
プロフィールを見てみると…
グッ……
何かこの男も顔グラがイケていない、というかヒーロー面をしていない……
移動キャラはカッコ良さげな感じなのに!!
列車~博士の家
会話シーンだが、会話コマンドを選択して会話を進めていくと
新しい単語が出てきた時に話す内容の選択肢にその単語が選べるようになるという
アドベンチャーゲーム形式になっていて、ファミコン探偵倶楽部や新鬼ヶ島などを思い起こす。
よく聴いてみると人によって声のSEのトーンが違っていて細かいところが凝っている。
さて、ストーリー上では列車に乗り込むことになるのだが、
ファンタジー的な世界観で列車が出てくるのは新鮮だ。
FF6のような近未来的な世界観ならともかく、
そんなに文明が発達していなそうな世界観だったので少し驚いた。
列車の中ではしっかり線路上を走っている中で主人公たちが歩き回れていて
道具売りの人もいたのが何だか感慨深かった。
暴走している電車を止めようとしている中なぜか魔物たちが出てきて、ターン制限バトル。
こういうのであればターン制限があるのはしっくりくる。
開拓の街に着いたら、なにやらBGMが不穏な感じだったが、
そこらじゅうでバタバタと人が倒れていた光景がかなりショッキングだったのを覚えている。
レオンがどうも、やはりただのヒーローキャラでは無さそうだ。
レベルがかなり高いので味方になった時は頼りにはなったが、
思った以上に冷たい印象のある男だった。
このあたりでいったん戦闘でゲームオーバーに。
ガリバーは文字通りただの飾りに近いし、敵としては強かったルナルドのショットは役立ったが
まだゲームのコツを掴めていないのもあって、この時の主人公が弱く、足手まといになっていた。
博士の家では爆炎の将バラサイトが登場。
戦闘曲が無茶苦茶カッコ良かった。
願いの滝~リミッツの家
スタアが仲間に加わった。
戦いの仕方がエグい……しかも大して強くはない。
願いの滝は寒々しい感じの音楽も良かったし、
移動マップで滝が手前に流れている演出も幻想的で良かった。
火口の入り口ではまたもバラサイトが登場。
戦闘音楽が相変わらず良い…!
このバラサイトだが、ただ口が悪いだけではなくて異様に強く、
こちらも初めて会った時よりは多少強くなっているのにまだ相手にならなかったのが悔しかったが、
ヤツの力がルビーの力でますます増したのは衝撃的な展開だった。
ここでも1回か2回全滅させられたっけかな……
ドロシーは使えなそうな女の子だな…と思い、実際使えなったが、
この子は後で大活躍することになる。
このあたりで大分お金が無くて金欠にあえいでいたが、
秘伝書を売っても支障が無い上に買い直せることも知り、
秘伝書を売ってお金を見繕ったりしていたっけなあ。
リミッツの家の地下では『過去の狂騒』の不吉な音楽とメカの敵の群れが強く頭に残っているなー、
メカの敵は最初ドロシーやスタアの難敵になっていたが、
何往復かしているうちにただの雑魚にしか思えなくなったのが感慨深かった。
ここのボス戦(中央からレーザー光線を飛ばしてくるやつ)でも一回全滅した……
後ろから来るメカがうざかった。
このゲームは序盤に大損害を受けると立て直すのが非常に困難だなーと思う。
一度やられた味方はその戦闘中では復活しないし。
若き発明家の〇〇
このあたりは作中でトップクラスに印象深いシーンだった。
流れる『とどかない想い2』を聴きながら
切ないような物寂しいような雰囲気の中の戦闘という不思議なシチュエーションで
敵は大して強くなかったので曲を純粋に堪能しながら先に進んでいた。
ここでのスタアとマリオンの会話は当時は事情をよく知らなかったので
あまり感慨は湧かなかったが、
後々のシナリオを見たら『とどかない想い』の曲と共にグッと感情移入してしまった。
そして、この後の展開には度肝を抜かれた。
やるなあー、
こんな壮大なスケールの物語だったとは!!
世界の範囲が狭いゲームだなとは思っていたけど、
まさかあんな手法で広がりを持たせてくるとは……正直面食らった。
そしてスタアとマリオンのところのシーンが…
前述した二人の事情がよく分かるシーンだったが、
場所の音楽も歌の音楽も切なかった……
が、その後の
「自分の家を待ち合わせ場所にされただけで怒る?」
「怒るんじゃないでしょうか普通は…」の流れには笑ってしまった。
その後のガリバー登場には何だか感慨深いものを感じてしまったな。
扉を開けたら閉めるところをちゃんと学んでいたのが微笑ましかった。
ここでもまたバラサイトが登場。
そしてここでもまた一回全滅してしまった。
相変わらずバラサイトが鬼強い……
リミッツが何とか壁役になってくれて助かった感じだった。
スタアとスタアの会話…
自分で自分の背中を押すというのは感慨深かったなあ。
今の自分があるからこそ、「彼ならもう大丈夫だ」「大丈夫さ、君は僕なんだから」と言えたんだろうな。
しかし、スタアがそんな悲しい身の上の人間だったとは……
作中一番悲しい身の上のような気がする。
死した女の〇〇
またも、火口の入り口へ向かう。
ストーリーの進行上仕方ないことなんだけど、
火口にしろ黄金色の砂漠にしろリミッツの家の地下にしろ、
同じ場所に繰り返しいかないとならないのはちょっとダルい。
そして、今度こそ本格的なバラサイトとの戦闘。
生まれたて?のはずなのにクッソ強かった。
経験を積んで遥かにレベルアップした4人の力をもって4対1でようやく倒せたくらいだった……
オルガの街~ハゥント山地
ここでまたショッキングな展開に。
宿の前の戦いでは時間切れで一回ゲームオーバーになってしまったんだよな、
ひたすら防御力を高めまくるカボチャ頭のヤツに攻撃に向かうのが遅すぎて、
ようやく攻撃に向かえた時にはもうカチカチの防御力になっていて歯が立たなかった…
赤いウルフの敵も手強かったな。
あとこちらのステータスを弱めてくる黒い亡霊?も厄介だった。
このあたりになると、こちらで一番強くなっていたのは主人公だった。
彼女のショットとメテオストライクは戦闘の要。
次いでルナルド、力を入れて育てていたドロシーもようやく使えるようになってきて、
スタアが一番戦力が弱かった印象だった。
そしてレオンが仲間に加わる。
彼もさすがに相当強かったが、超強力になった主人公と同等くらいだったかな?
その後は彼と主人公の二大巨頭を主力に戦っていた感じだった。
ステータスを下げてくる敵が厄介だったが、
このあたりまで来る頃にはもう戦い方のコツを掴んでいたので
ゲームオーバーになることはなく進めていた。
オルガの街ではルナルドの
「人間なんてこの世界の中のちっぽけな生き物の一つに過ぎん。
だがそのちっぽけな生き物は唯一、自分の力で過ちを正すことが出来る生き物なんじゃ」
「自分の犯した過ちに立ち向かうことは人間として生を受けた者の責任ではないかね?」
という台詞が印象的だったな。
ハゥント山地ではジェイソンみたいな敵が強力で厄介だった。
四方八方から襲ってくるので味方を総動員させても手が回らず、
黒い亡霊のステータスダウン攻撃も地味に邪魔で、かなり苦戦した箇所だった。
だがそれ以上に厄介だったのは、バラサイトやリミッツ等、層々たる面々とのバトル。
このあたりまで来る頃には遅ればせながらようやく『ポイズンドロップ』で
敵のステータスを下げてから戦うという戦い方を覚えていたので、
それを駆使して何とか突破したが(早くこの楽な戦い方に気付きたかった)
セルフィーがやられる等して確か2~3回くらいここではやられた記憶がある……
直前でセーブしていたので良かったが、同じ会話を聞くのが面倒になるくらいだった。
そしてカタストロフィを経て、物語は遂に大詰めへと向かう様相になっていく。
流水界宮~夢幻聖院
二人の創世主……か、普通創造主は一人であることが多いけど
二人の創世主、それぞれを護る4つの存在、
そしてその二人が予期しなかった存在という設定は面白かった。
二人の創世主が男性と女性で、それぞれを護るのも男性と女性という設定なのも面白い。
「人間が、全ての生物の支配者たりえるのは何故か」
「それは、火を使うことが出来たから」
この会話も『なるほどー』と思った。
さすが終盤、深みのある会話が多い。
マシフルの戦いはこっちの攻撃がほとんど効かなくて
スタアとドロシーがやられてかなり焦ったが、何とか一回目で撃破出来た。
そして何度目かのバラサイトとの戦い…
初めのうちはただひたすらに強力で凶悪なヤツで音楽がアツいという感じだったが、
一転してこの男もまた悲しい存在だったんだなと感じる……(ルナルドも似たようなことを言っていた)
そう思うと音楽もどこかしら悲壮感を伴って感じられた。
バラサイト……もしかしたら作中で一番哀れだった存在なのかもしれない。
次に、リミッツ。
こいつは本当に腹が立ってリミッツァァァァァ!!となったが、
その後の展開でその怒りもスゥッと引いた。
ラストダンジョンは高低差のあるところでの戦いがやりづらく、
岩を落としてくるやつがうざかったが、
トルネードを駆使して何とか時間内に突破。
ラスボス戦はかなり苦戦して、レオンとルナルドがやられてしまったが
主人公と何とスタアとドロシーが生存して何とか一回目で撃破することが出来た。
晴れてエンディング……
全体を通して思ったけど、この作のテーマは『愛』だったんだろうな。
特に男女愛。
仲間の一人一人、敵も含めてそれぞれのドラマがあり、
悲しい末路を辿った者もいれば幸福な結末を辿れた者もいて、
幸福や不幸一辺倒じゃなかったところが現実味があって良かった。
戦闘ではイマイチ役不足だったスタアだったけど、一番感情移入したのが彼だったかもしれない。
SFCというプラットフォームで淡白な描かれ方をされていたのが本当に惜しくて、
攻略サイトを見てみると細かい隠し要素もかなり散りばめられていたので
相当力の入った渾身の作だということがうかがえるが、
ストーリーと音楽の良さが突出していて、
リメイクされないのが本当に不思議なくらいに思えた良作だった。
- 1
- 2