ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス(3DS)レビュー・感想

64.ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス(3DS)の展開

ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンスの展開

ゲーム開始直後、ペルソナ3(以下P3)サイドで始めるかペルソナ4(以下P4)サイドで始めるかが選べる。

えっ、これってそれぞれストーリーが違うの?
ということは一本のソフトに二本分の内容が詰まっているというゴージャス仕様?

という疑問を抱きながらも、P4の方が個人的には好きだったのでそちらをチョイス。

難易度は普段ならハードを選びがちな自分も
アトラスゲーだからヤバそうなので弱気にノーマルをチョイス。

頭身は大きくデフォルメされていて雰囲気はまったく異なるものの、
音楽やボイスや環境は……まさに、当時凄くのめり込んだP4の世界そのもの

菜々子の声にほっこり。

胸が躍りながらも話を進めたら、
どうやらP4の本編で時系列的には文化祭とかやっていたあたりっぽい。

それで、普段通り学校に行くなり、
突如ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンスの世界に引き込まれてしまったわけだが…

うーむ、りせちーや直斗ら主要キャラが全員登場していながらも
時系列的に物語が本格化していない段階を舞台にしたあたり、
うまく持ってきたもんだ。

八十神高校は大きく変貌し、コスプレ喫茶が謎のダンジョンに…
中に入ったら画面の造りが大きく変わったが、
それは世界樹の迷宮ではお馴染みで見慣れた、3Dダンジョンだった。

初のバトル、そして新キャラの善と玲を加えたところで
パーティー編成が可能になり、ついにゲームが本格始動!

【第一の迷宮】

パーティーは主人公・陽介・クマ・雪子に、善&玲を加えた5人で進行させることにした。

パワースポット、マッピング、FOE、『ああっと!』の文字、
かなり細かいところまで世界樹の世界を踏襲している。

ナンバリングタイトルではないながらもマッピングシステムはしっかりとしていて、
一方通行はアイコンを置くだけで自動的に矢印が通行出来る向きを記してくれるし、快適だった。

本作では1階・2階というフロアの概念が、
第1章・第2章という表記になっているのが新鮮なところ。

あと、システムだけ見れば世界樹そのものなんだけど、
『FOEが近くにいるよ』とかキャラがボイス付きでよく喋ってくれるので
世界樹のような無骨感はあまり無く、
キャラの頭身も相まってほんわかした印象を感じながらの進行だった。

ただ、戦闘難易度はアトラスゲーだけあって、
ノーマルでもほんわかした印象とは裏腹になかなかに厳しい…

最初にグッ…!と唸らされたのが熱甲蟲

P3かP4に登場した見覚えある外見ながら
『こいつこんなでかかったっけ?』というボス並の体格で、
茨の口輪、あと生意気にも二回攻撃が痛い……!

『チャラチャー♪』という戦闘曲のイントロと共に出くわすたんびに
『またこいつかよ……』とゲンナリしたもんだった。

その後、ようやくダンジョンの最深部に到達し、そこのボス戦でついにP3の面々が登場。

『ベイビベイビベイビ♪』というP3を象徴する音楽と共に登場したあたりがまたニクいね。

無事ボスを撃破して、次の第二の迷宮に移ってからは
何とP3のメンバーもパーティー編成に加えられるように。

サポート役としてP4のマリーや、
P3の『イェーイ』が印象的だったエリザベステオドアも現れ、一気に賑やかに。

メインキャラクターでこれだけの人数が一堂に会したのは
アトラスシリーズで初なんじゃなかろうか?

パーティー編成は凄く迷ったが、せっかくの共演作でP4だけで固めたままなのもなんなので、
主人公・P3主人公・真田・雪子・善&玲で行くことにした。

その後は基本このパーティーで最後まで行くことになるが、
本作は控えのメンバーに経験値が入らなく、強さが置いていかれるため、
即戦力にならなく固定メンバーになりがちなのが残念な点だった。

【第二の迷宮】

第二の迷宮はごーこんきっさで、
時折流れてくる謎の機械音声から心理テストみたいなものをやらされることに。

出くわすたんびに『運命の相手を見つけるため』と称して質問を投げかけられ、
実際選択肢が現れて答えていくんだけど、
これがどんな結果に結びつくのか、非常に楽しみだった。

ダンジョンによって趣向が違っていて飽きさせない造りになっているのは面白い。

あと「○○してもいいし、しなくてもいい」という
世界樹フレーズが入っているところも思わずニヤリ。

攻略中は校内散策とかでP3とP4のキャラ同士で会話する機会があるんだけど、
本編に絡む話も出てきたりして、
P4の本編の話をP3のキャラがコメントする、みたいなことになったりするのが面白かった。

ごーこんきっさがテーマなので
P4メンバー内の恋愛事情の話にも及んだので興味津々だったが、
ちょっとみんな何かしらを意識しているような表現はあったものの
突っ込んだところまではいかなかったのでガックリ。

その場にりせちーがいなかったのも残念。

終盤、ついに運命の相手が決まったが……

そのお相手は、何と『風花』!!

まさかとは思ったがペルソナメンバー内で決まるのも驚きだったし、作品の垣根を越えたのも驚き、
しかし真面目に質問には答えてきたつもりだったけど、
わりと的を射た相手に落ち着いたのも驚きだった。

【第三の迷宮】

ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス画像3

かなりインパクトの強かったこの第三の迷宮。

絵的におどろおどろしいし、音楽も結構本格的に不気味なテイスト。

それはそれでサスペンス・ホラーの好きな自分としては嬉しい要素だったんだけども。

追い討ちをかけるようにここのFOEがまた不気味で、
背後の頭上から突然『ドチャッ!』と落ちてきたり、
目の前に突然『ゴーン』という効果音と共に出現したり、
しかも前者は追尾型(何気に本作初の追尾型だったかも)で、怖さに拍車をかけている…

ペルソナキャラがキャーキャー騒いでくれているので怖さは若干和らいでいたが、
人によっては本気で怖がる人もいそうな気がする…

このダンジョンは謎解きも高難度のものがあり、
一応ヒントを作中で出してくれていたりはしたが(直斗が冴えていて良いヒントをよくくれる)
攻略を見たくなったほど詰まりかねなかったもの(『木又几』とかのやつ)もあった。

あとこのダンジョンはパーティーが動けない状態で玲一人で行動しなければならないシーンがあり、
玲のいる位置を予測しながら彼女に指示を出して遠隔操作を行ったのは
世界樹にも無かったイベントで新鮮だった。

このあたりから、迷宮のおどろおどろしさに共鳴するかのように
明るさ一辺倒だったストーリーに影が差し、物語の核心に迫っていくことになる。

【第四の迷宮】

一転して、完二ステージを彷彿とさせるお祭り感満載のステージ。

このステージもかなりギミックが凝っていた。
たいまつ一本でFOEをうまく誘導しながら定められた歩数制限内に決められた場所に行く…
よく考えたもんだなー。

ただ、凝っているだけあって攻略も容易ではなく、
かなり時間を要して食傷気味に思えてしまったダンジョンでもあった。

FOEも斜めに動いてきたり一気に二マス動いてきたり一筋縄ではいかなく、
事故でぶつかってしまって手痛いセッカンをうけたりした…

ステージはお祭りながら、ストーリーが核心に迫っているからか
メンバー内の会話もディープになってきて、
現在抱えている悩みや将来の話にも及んでくる。

時間的にどれくらいの時間を共にしているのかは知らないが
作品間内で短期間でそこまでのことを話し合えるような仲になるとは……

それにしても、本作はクマの扱いが酷い

イジられ役ながらも思いやりがあり、良い部分を沢山持っているはずなのに
本作ではイジられけなされ一辺倒で、いじめにも思えてしまったのが閉口ものだった。

ダンジョンの終盤で、ついに全ての謎が明かされ、衝撃の事実が知らされることになる。

ずっとモヤモヤしていた何が何やら分からぬ状態でダンジョンを攻略してきた中、
やること・やるべきことが分かり、あとは最終ダンジョンに挑むのみと分かったのはいいが
この衝撃の事実はあまりに重く、どう話が流れてもこれはハッピーエンドにはならないよな…
と陰鬱とさせるものだった。

【最終迷宮】

急いでラスボスのところまで向かわなければならない中、
最終迷宮もキッチリとギミック満載のダンジョンだった。

宙に浮いていてこちらが歩けないところも平気で移動してくるFOE、
動くゴンドラ、動く壁…

早く物語の結末を知りたい気持ちとは裏腹に
無駄とも思えるほど長ったらしいダンジョンで、半ば義務感感覚で攻略

ラスボスはさすがに苦戦したが、特別追い込まれるほどまでは至らず、撃破!

ようやくエンディングを迎えることが出来た。

…が、そのエンディングは個人的にRPG至上、
類を見ないほどに切なく、印象深かった。

号泣した。

本人が納得の上であるところがせめてもの救いだが、
この物語は前提がそもそも救いが無く、悲しいものだったとは…

みんなそれぞれこの出会いや冒険や経験を忘れてしまうのが、また切ない。

プレイする前はP3とP4と世界樹のコラボというお祭り作という印象しか持っていなかったが、
(実際お祭り感感じる演出も数多くあったが)ストーリーが思いのほか重く
ナンバリングタイトルと比べてもまったく遜色ないディープさだった。

言葉一つ一つに重みがあり、
声優の表現にも熱がしっかり入っていて、思い切り引き込まれ…

中だるみしたり、後半ダレてしまったり等はあったものの、
総じてシナリオ設計のクオリティが高い一作で、
プレイして良かったと思えたゲームだった。

PS.
エンディングは今でも時折思い出しては、切ない思いに浸っている…

  • 1
  • 2
Page top
▲