かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相(PS2)の基本情報・見どころ・レビュー・感想・評価

前作「かまいたちの夜2」より1年。
三日月の館で妻の夏美を殺害された香山は、
事件後、三日月島の呪いに苦しむ夏美の夢を何度も見るようになる。

有名な祈祷師ケマルーア彦田によると、
過去、三日月島を統治していた岸猿家の当主、岸猿伊衛門の怨念で、
島で死んだ者の魂を束縛し成仏できずにいるという。

香山は彦田の助言に従い三日月の館を修復し、
8月15日に事件の当事者を集め、夏美の供養を行うことを決意した。

因縁の地で、一同はまたもや奇妙な事件に巻き込まれてゆく。

本作一本の中には前作と前々作のメインシナリオが収録されていて、実質3つのゲームが楽しめるお得な仕様となっている。それは本作が完全に過去作に則った内容でプレイしていないと人間関係や前後関係が分からないからなのであるが、それでいて定価6090円というのはお得感を感じる。

本作ではシリーズの中で初のザッピングシステムが搭載されており、前作までは透一人が主人公だったのだが、本作は透含む四人が主人公の扱いとなっている。しかしこのザッピングは話の広がりを感じて新たな面白みを開拓は出来たものの、個人的にあまり好めなかった。どちらかというと透よりも香山さんの方が主要キャラとして前面に出てしまって、透の印象が弱まってしまった点、物語の全体像を個人ではなく俯瞰で眺める形になったので感情移入がしにくくなってしまったのが大きな理由だと思う。

ただ、本作はザッピング効果もあるが物語の性質上これまでの作より背景がさらに複雑化したので、犯人が非常に特定しにくくなった。どんでん返しの展開が盛り込まれており、実際真相の奥にあった真相を知った時は度肝が抜かれてしまった。

だが、本作は過去作二つが収録されているためなのか、サブストーリーが前作に比べてほとんど無く、音楽やグラフィックもそれほど前作と比べて変化が無いので目新しさには乏しく、少々物足りなさも感じた。過去作二つを楽しめた人ならそれなりに楽しめる内容にはなっていると思うが、個人的にはやはり初作には及んでいない印象だった。本編の完成度で言えば2よりは楽しめたと思えるが、全体的なボリューム不足だったり、本作はファンタジー要素が前作にも増して感じられるようになったので、そういった意味でのマイナス点で相殺されてしまったように思える。